FROM RNA TO PROTEIN(pp335〜365)
◇翻訳(translation)
RNAの情報をタンパク質に換える。
mRNAにはA,G,C,Uの4種類のnucleotideしかないのにタンパク質には20種類のアミノ酸が使われている
⇒nucleotideとアミノ酸の一対一対応では翻訳不可能。
※翻訳は『遺伝コード』にしたがって行われる
- mRNAの塩基配列は塩基3個を一組(=コドン)として読み取られる。
〜なぜ3塩基なのか〜
- 塩基1つなら4通り
- 塩基2つなら4×4=16通り
⇒これだと20種類あるアミノ酸を指定できない
だから塩基4×4×4=64通り必要なのである。
ただし64通りに対してアミノ酸20個なので余るtripletもある。<参考:普遍遺伝子暗号の対照性>
コドンボックス→第三塩基だけが異なる4つのコドンの組
赤のマスは2種以上のアミノ酸を指定しているコドンボックス,白いマスは1種のアミノ酸だけを指定しているコドンボックスを示している(左).これを 180度回転させて(右上),もとのものと重ねる(右下)と,赤いマスは白いマスの上に,白いマスは赤いマスの上に重なる!
自然に成立した暗号にこのような偶然性があることによりどれだけこの遺伝暗号が合理的なものかがわかる!!
◇tRNA(transfer RNA)
コドンは直接アミノ酸を識別するわけではない。
←tRNAによって仲介される。
(片方でコドンを、もう片方でアミノ酸を識別。アダプターの役割をする。)
◇コドンとアンチコドンの塩基対形成の揺らぎ
アンチコドンの5'末端(mRNAのコドンの3文字目)は位置的に構造のゆとり(ゆらぎ)があるために標準的ではない塩基対を作る。
※イノシン:グアニンの脱アミノ化反応で生じる。
◇tRNAにアミノ酸を結合させる反応
アミノアシルtRNA合成酵素がそれぞれのアミノ酸を対応するtRNA群に共有結合させることによってtRNAは20種類のアミノ酸から適切なものを選ぶ。
◇アミノ酸のタンパク質への組み込み
ポリペプチド鎖はC末端にアミノ酸が一つずつ加わって伸長する。
伸長中の鎖のC末端はtRNAとの共有結合により活性化されているのでペプチド結合の形成がエネルギー的に起こりやすくなっている。
付加されるアミノ酸自身が活性化エネルギーを運び込むがそのエネルギーは自身にではなく次のアミノ酸の付加に使われる。
◇リボソーム(ribosome)
- 50種類以上のタンパク質とrRNAから成る複合体
- 小サブユニット:tRNAとmRNAのコドンを正確に対応させる
- 大サブユニット:アミノ酸間にペプチド結合を形成してポリペプチド鎖を作る場所。反応のメインの酵素であるペプチジル基転移酵素を含む
- mRNAがあると大小のサブユニットは会合しタンパク質の合成が始まる。
- STEP1
リボソームのA部位にアミノアシルtRNAが結合
- STEP2
新たなペプチド結合が形成される
- STEP3
mRNA分子がサブユニット間を3ヌクレオチド分移動して使用済みのtRNA分子が放出され次のアミノアシルtRNAが結合できるようにリボソームがリセットされる
⇒さらに詳しく⇒
※伸長因子(elongation factor):EF-Tu,EF-G
リボソームにくっついたり離れたりする過程でGTP→GDPにする。
この加水分解にかかる時間のおかげで誤ったtRNAを除く猶予ができる。
- mRNAの翻訳は開始コドン(AUG)から始まる。
- tRNAを持った小サブユニットがmRNAの5'キャップ構造とこれに結合している2つのeIF-4E,eIF-4Gを目印にしてmRNAの5'末端にくっついてmRNAに沿って5'→3'に移動してAUGを探す
※eIF(eucaryotic initiation factor)
◇翻訳の終了
tRNAに認識されずアミノ酸を指定しない終始コドン(UAA,UAG,UGA)で指示される。
リボソームのA部位に終始コドンがくるとrelease factorがそこに結合し、リボソームにあるペプチジル基転移酵素活性がtRNAにアミノ酸の代わりに水を付加する。
付加がおこるとtRNAに結合していた伸長中のポリメラーゼ鎖のC末端がtRNAから離れる。
⇒タンパク鎖が放出される
※release factor
分子擬態をする。
release factorの3D構造がtRNAの形と電荷分布に似ている。
⇒release factorはA部位に入って転写を終了することができる!
◇新たに合成されたタンパク質は折りたたまれる
シャペロン(chaperone)が折りたたみを補助する。<真核生物のシャペロン>
※hsp60/hsp70:シャペロンのタンパク質ファミリー
◇ユビキチンやプロテアソームの働き
タンパク品質管理機構はタンパク表面に露出した異常な疎水性領域を破壊する。ここでは誤って折りたたまれたタンパク質にユビキチン連結酵素がユビキチンを共有結合で付加する。生じたポリユビキチン鎖がプロテアソームのキャップによって識別されるとタンパク質全体がプロテアソームの内部へ運ばれそこで分解される。
◇折りたたみを誤ったタンパク質
凝集体を形成⇒病気の原因になる
プリオン病はタンパク質凝集体を含んだ生物の組織を食べると感染する!!!